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  • 執筆者の写真yasushi-takahashi

ギリシア語学習の面白さ

更新日:3月19日

昨日3回目のワクチン接種したので、今日は1日休養日にしてブログを書いている(^^)


ラテン語の格は主格、属格、対格、与格、奪格、呼格の6つだが、古典ギリシア語は奪格がないので5つ、呼格は複数では主格と同形になったり出てくる頻度も少ないので憶えなくてもいいとすると4つ。


数は単数と複数に双数というものもあるが、双数は使われる頻度が低いのでとりあえずは憶えなくてもいい。


性は男性、女性、中性の3つ。


たとえば、λόγος ロゴス(男性名詞)言葉 は単数が主格、対格、属格、与格の順に λόγος, λόγον, λόγου, λόγῳ と変化する。これをロゴス、ロゴン、ログー、ロゴーイと唱えて憶える。複数はλόγοι, λόγους, λόγων, λόγοις ロゴイ、ログース、ロゴーン、ロゴイス。

女性名詞と中性名詞はまた違った変化の仕方をして、さらにそれぞれにいくつか変化の型があり、不規則に変化するものもある。


不規則に変化する名詞の一つが船を意味する ναῦς ナウス (女性名詞)で ναῦς, ναῦν, νεώς, νηΐ ナウス、ナウン、ネオース、ネーイ、複数は νῆες, ναῦς, νεῶν, ναυσί(ν) ネーエス、 ナウス、ネオーン、ナウシ(ン)、最後の括弧の ν は後に母音が続くときの語形。語根から変化するのでとてもややこしい^^; この複雑な変化には、古典期には消失していた英語のwの文字に相当する文字 ϝ ディガンマが絡んでいるらしい。


ところで Ὅμηρος ホメーロスの Ὁδύσσεια オデュッセイアに、Ναυσικάα ナウシカアーという王女が登場する(まだ読んでない本のことを語るのは恥ずかしい^^;)。宮崎駿監督の作品のヒロインの名前にもなっているが、Wikipediaではこの名前を ναῦς 船 + καίω カイオー 燃やす つまり「船を燃やすもの」と説明している。


これに異議を唱えて詳細な考察をしたブログがあった。内容をかなり端折ると、まず ναυσί ナウシ は複数与格、与格は〜によって by の意味を持つことがある、そして καίω は比喩的に恋心を燃やす意味にもなる(この前のブログで紹介したLSJの καίω の項目には基本的な意味を set on fire, burn とした上で、metaph., of passion, esp. of love, to be on fire とある)よって「船によって恋心を燃やす者」と解釈できるとのこと。船に乗って故国へと去る Ὀδυσσεύς オデュッセウスを燃える心で見送る乙女が Ναυσικάα ということになる。


古典ギリシア語学習の面白さの一端を垣間見ていただけただろうか?



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