ヨハネによる福音書の冒頭
Ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόγος, καὶ ὁ λόγος ἦν πρὸς τὸν Θεόν, καὶ Θεὸς ἦν ὁ λόγος.
はじめに言葉があった、そして言葉は神のかたわらにあった、そして言葉は神であった
Οὗτος ἦν ἐν ἀρχῇ πρὸς τὸν Θεόν.
それははじめに神のかたわらにあった
Πάντα δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ χωρὶς αὐτοῦ ἐγένετο οὐδὲ ἓν ὃ γέγονεν.
すべてはそれから生まれた、そしてそれから生まれずして生まれたものはひとつもなかった
Ἐν αὐτῷ ζωὴ ἦν, καὶ ἡ ζωὴ ἦν τὸ φῶς τῶν ἀνθρώπων,
その中に命があった、そして命は人間たちの光であった
καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν.
そして光は闇の中で輝き、そして闇はそれに打ち勝つことはなかった
ここで言う「言葉」λόγος ロゴス は伝統的な解釈ではイエスを指すとされているようだ
ロゴスと聞けばギリシア哲学の重要概念だったはずと調べてみたりする
プロローグ、エピローグ、ディアローグ
これらはみなギリシア語起源の言葉で、
プロローグ < プロロゴス πρόλογος
エピローグ < エピロゴス ἐπίλογος
ディアローグ < ディアロゴス διάλογος
などいろんなところにロゴスが顔を出す
さらには λόγος ロゴス に抽象名詞を作る接尾辞 ία が付いた λογία ロギア > logy となって、テクノロジーとかエコロジーとかサイコロジーとかありとあらゆるものにロジーが付いたりするから、鴉が鳴かない日はあってもロゴスと聞かない日はない
信仰とは無縁の者にとっては、ヨハネの冒頭は人間の本質が言葉にあることの高らかな宣言とも読めるのだが、ここまでロゴスが溢れるとはとヨハネの作者も面食らっているにちがいない
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