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  • 執筆者の写真yasushi-takahashi

CLASSIC TVにクラヴィコード

更新日:2021年9月17日

モーツァルトがテーマの回の中で彼が旅に持っていった楽器として紹介されるのですが、モーツァルトが旅に持っていったのは天才的な楽器製作家だったJ. A. Stein作の旅行用クラヴィコード。近いサイズということでHubertの楽器の登場です。

収録は先月31日、東京のNHK。オーナーさんにご協力をいただいて事前にこちらまで送ってもらった楽器を持って出かけてきました。パラリンピック期間中でもあったので車はやめて楽器を担いで公共交通機関での移動を選択、重量8kgはそんなに重いわけではありませんが帰ってきたらぎっくり腰一歩手前^^; さらにコロナを警戒して1週間家庭内隔離生活のオマケも(^^;;


このHubertの1776年作の小さな楽器は第2時世界大戦中にベルリンで焼失したために、オリジナルは残っていません。わずかに不鮮明な写真と簡潔な説明が残されているのみです。



このわずかな資料からオランダのクラヴィコード製作家で、Hubertの楽器の研究家でもあるKoen Vermeij氏が1987年に復元し,詳細なレポートが公開されています。彼に連絡したところ快くレポートのPDFを送ってくれて、それを元に図面を描き製作、昨年夏に完成しました。

小さな楽器ですが、その小ささのために作業に思った以上の時間がかかりました。キーの曲がりが大きくタンジェントを打ち込む部分の幅がとても狭いので鍵盤の加工が大変でした。また、ケースが薄いので強度を保つためには手前部分を一体で加工しなければならず、ダブテイルの穴のために極小サイズのノコギリを特注で作ってもらって加工しました。

完成していざチューニングしようとしてチューニングピンの間隔が狭いために普通のチューニングハンマーでは入らないことが分かり、チューニングハンマーを作るハメになんてことも^^;

ピッチとの関係で弦の太さをどうするかもなかなかまとまらず、一度張った弦を半分以上張り替えたり、低音弦は音量のバランスを整えるために何回も巻線を作り直したり太さの組み合わせを変えたりで試行錯誤がいつも以上でした。

それでも、ケースにオーク材を使ったので小さくても重厚な雰囲気が出て、音も特に高音は甘い響きになって、いい楽器ができたと思います。


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