top of page
検索
  • 執筆者の写真yasushi-takahashi

ターンテーブルDP-3000のリストアと78回転改造

更新日:3月19日

通常ターンテーブルが対応しているのは33 1/3回転と45回転。SPレコードを聴くためには78回転が必要。最初から対応しているターンテーブルが現在も販売されていたり中古で入手も可能だが、廃棄寸前の状態で入手したDENON DP-3000という往年の名機が手元にあり、これを整備している中で78回転に改造可能なことを知った。


DP-3000は1972年発売で当時たいへんに人気のあったターンテーブル。


発売から半世紀近く経っていてもいまだに愛用している人が少なからずいるDP-3000。回転制御機構はディスクリートで組まれ、汎用部品のみで構成されていることから、故障してもパーツを交換することで比較的簡単に修理可能で、ネットには修理記事が数多くある。

入手したものはキャビネットがコンクリート漬けにされ、プラッターや躯体の隙間という隙間に油粘土が詰め込まれたまるで拷問のような状態。重量は40kg以上あったと思う。あまりの重さに数年車庫の片隅に放置、捨てるに捨てられずの状態だった。


とにかく邪魔なので処分するつもりでまずコンクリートを剥がした。中身を取り出して物は試しと電源を入れたところなんと正常に回転。こんな状態でも生きていたことで処分するのも可哀想になって、なんとか使えるようにしてみることにした。


まず詰め込まれた粘土をどうにかしなくてはならない。分解できることろはすべて分解して電気回路を取り外し、アルミ合金の躯体とプラッターから粘土を取り除いて水洗い。乾燥させたところで正面の黒い部分は傷が目立ったので塗装し直した。

プラッターは正常に回転したものの、粘土のせいで表面が腐食して内側の磁気コーティングも傷んでいたが、これはたまたまオークションにプラッターのみが出品されているのを見つけて落札することが出来たので交換。



まだ粘土がこびりついている水洗い前の躯体

モーターを分解したところ、スピンドルの硬球を受ける部分に磨耗してできた凹みがあった。DP-3000は軽量プラッターが特徴だが、粘土を詰めて重くしたことで支える部分に想定以上の荷重がかかった結果だろう。なんでも重くすればいいというものではない。これは慎重に砥石で研いで平面を出してからグリスを付けて組み立てた。


モーターの内部

ベアリング受けに窪み

研いで平面を出したところ

ストロボの光源部分も汚れが目立ったので分解して清掃。スイッチの接点も無水アルコールで汚れを拭き取り。

この辺りの一連の作業は仕事の合間にやったので数か月を要した。


キャビネットは油粘土やコンクリートのせいで表面が変色、底面のインュレーターを無理やり剥がした痕があり合板がささくれだっていたので、底面に薄い合板を貼り、側面と上面には5mm厚のクルミ材を貼ってオイル仕上げ。


仕上げの終わったキャビネット

ということで、1年ほどかけて整備して組み立ててDP-3000はめでたく復活(^^)


ただ、ここまでやっても通常の回転で78回転にはならない。改造方法をネットで検索するもヒットせず。DP-3000の持病とも言える高速回転の故障の修理と合わせて改造している人がいるようだが詳細は公開されていない。でもなんとか自力でやりたい笑


ネットで回路図を入手したり、Facebookのグループで情報提供してもらったりして、だいたいの改造箇所の目星を付けて実験、R36の65kΩに手元にあった250kΩの可変抵抗をパラレルにつないで蓄音機用のストロボスコープでチェックしながら変化させると、45回転ポジションで60kΩあたりで78回転になることが分かった。

最終的に48kΩ+回転数の微調整のための10kΩ半固定抵抗を直列にした上でR36とパラレルに接続、プラッターの下にスイッチ取り付けて通常回転と切り替えられるようにした。


このスイッチをonにすると45回転ポジションで78回転になる


首尾よく78回転することができたのに気を良くして、ついでに2つのパワートランジスタを取り外してグリスを塗り直して取り付けてスイッチをいれたところ、なんと78回転どころではない高速回転。DP-3000の持病が発症(T . T)


この持病はトランジスタの劣化が原因のことが多く、ネットには多くの修理記事がある。トランジスタは足黒状態のものが何本もあったので今後のことも考えて交換用に数種類入手していたが、正常に回転している限りは予備的に交換するつもりはなかった。

でも、こうなったら覚悟を決めて交換するしかない。足りないトランジスタ数種類も入手、こうなったら経年劣化しているはずの電解コンデンサーも全部交換、その他にリレーと回転数の微調整のための半固定抵抗、電源が切れないことがあったのでマイクロスイッチも交換。



取り外した古いパーツ

ここまでやったら直っているはずと組み立ててスイッチオン。ところが頑として高速回転する。トランジスタはhFEを測ったりしながら組み合わせを変えてみたり、互換品を数種試したり、考えられる限りの手を尽くしてもダメ。国内では入手困難なIC TA7061をeBayで見つけたので注文したら中国から送られたのでこれも交換。それでもダメ。もうお手上げ(T . T)


でもここまで手をかけて整備したのに一度も音を聴けないのも悲しい。故障箇所の特定のために格安オシロスコープも購入してみたが、冷静に振り返ると高速回転したのはパワートランジスタを外してグリスを塗り直してから。もしやと思い外して酸化金属粉入りの放熱グリスを拭き取って普通のシリコングリスを塗り直して取り付けてみたら正常回転^^;


せっかく購入したのでオシロスコープでチェック^^; 規定の555Hz 12Vppのパルスが出ています(^^)/


高速回転したことで慌てて部品交換に走ったが、原因は放熱グリスがパワートランジスタの端子をショートさせていただけだった(゚o゚;; このトランジスタがショートしたら回らなくなると思い込んでいたのでチェックしてなかった...


でもそのままではいずれトランジスタの劣化で故障していた可能性は高いので、予備的に交換できて当分は快調に動くはず。部品交換を経験しパーツの予備もできたので数か月かかった作業もポジティフに捉えることにする(^ ^)/


トランジスタは下記のように交換。

2SA562→2SA562

2SC458→2SC1815GR

2SC1222→2SC1815BL

2SC1213→2SC2655

2SC373→2SC1815GR



これで仕事の合間に1年以上かけて作業したDP-3000が復活(^^)/


閲覧数:804回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page