巻線を巻く時に芯線にある程度の張力をかける必要がある
現在の巻線機は両端のフックが同期して回転するだけで張力をかける機構は省略しているので、芯線を張る時に引っ張って張力がかかるようにしている
ただそれだと芯線が細い場合に巻き終わりに近くなると伸びて緩んでくる問題があった
イングリッシュギター用に細めの芯線に極細の銅線を巻く作業をしたところこの緩む現象が顕著だったので、長い間の懸案だった張力をかける機構を考えてみた
手元に巻線機の軸と同じφ8mmで中心に3mmの穴のあいたパイプ状の鋼材がある
ここにフックを通して軸方向に数センチ動き、かつ軸と同じに回転する機構を考える
フックの部分を数キロの力で引っ張る機構が必要だが、まずバネを使うことを考えてみた
バネを使えばコンパクトにまとめられると思ってバネの選定もしてみたが、よく考えるとバネは位置の変異によって荷重が変化する
芯線を張る時には適度な張力がかかっても伸びてくるとバネの力が弱くなるのではあまり意味がなくなってしまう
なのでこの方法は却下
定荷重バネなんてものもあるけれど芯線の太さによって張力を変えたいので使えない
少し大掛かりになるけれどやはりオモリを使う古典的な方法しかないのかも
写真はベルギーのクラヴィコード製作家 Jean Tournay の工房の巻線機
この古い手回し式の巻線機はおそらく19世紀のピアノの巻線用のものだろう



巻線機の右側の自転車のペダルのような部分の外側が回転し内側がオモリにつながっている
テコの原理で実重量より軽いオモリでじゅうぶんな張力をかけられると同時にオモリの位置を調節して張力を変えることもできる
この機構をアレンジして取り入れるのがいいのかもしれない
寝ている間やお風呂に入っている間にあれこれ考えたことを図面にしてみた

真ん中の図の左側が巻線機本体で内側の軸の先がフックになる
右側が Jean の巻線機の自転車のペダルと同じ役割をする部分でスラストベアリングを入れて張力がかかっても滑らかに回転するようになっている
オモリの部分は最初は実重量で引っ張る機構を考えていたので Jean の巻線機を参考にもう少し考えてみよう
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