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  • 執筆者の写真yasushi-takahashi

カーブ可変フォノイコライザーのシミュレーション3

更新日:4月19日

回路を検討しているモノラルカーブ可変真空管フォノイコライザー

CR型としてこれまでイコライザー素子の前後をSRPPで挟んだ形で検討してきたが、ロールオフを変化させるとターンオーバーに影響が出るのが難点だった


SNSでロールオフの時定数を1段目の前に置いてはどうかというアドバイスをもらったのでさっそくLTSpiceでシミュレーションしてみると、ロールオフを変化させてもきれいにカーブが重なる。ただし素子の定数は設定し直さなければならない


前後の増幅段の間にCRを置くのは当たり前の形だが、カーブ可変とすると問題が...

ロールオフを初段グリッドの前に置くときれいに重なるものの、今度は別の問題が...

この回路で決まり!と思ったものの、これまでは信号源は電圧と周波数しか設定していなかったので、DL-102と昇圧トランス15095を前提に内部抵抗を設定してみると周波数特性が大きく変化してしまった(;°0°)


カーブ可変ではない普通のCR型フォノイコライザーなら前後の増幅段の間にターンオーバーとロールオフの時定数を置くのでこんな問題は起きない。やはりカーブ可変というのはなかなか一筋縄ではいかないものだとあらためて思わされた


今のところはカートリッジと昇圧トランスはこの組み合わせ以外使う予定はないからそれに合わせておけばOKではあるけれど、内部抵抗の計算が正しいかどうか確信がないしww 接続する相手によって周波数特性が大きく変化するのは中途半端で面白くない


考えられるのはロールオフの前にバッファを置くことで、適当に回路を組んでシミュレーションしてみると信号源インピーダンスに周波数特性は影響されなくなった


1段目もSRPPとしたのは12AX7の片側を遊ばせないためなので、μの低い12AU7で1段目と2段目も構成してその間にロールオフの時定数を置き、終段に12AU7のSRPPを置く3段構成とした



ただどうも超低域の挙動がヘンなのでそれまで見ていた2Hzまでではなく0.2Hzまでシミュレーションしてみるととんでもないことになっていた(;°0°)



0.4Hzあたりに大きなピークがあって発振しているようだ。これはもしやと検索してみるとぺるけさんの解説があった。2段の時は確認してもこんなピークはなかったので、3段シングルアンプで起きやすいモーターボーディングと呼ばれる超低域発振で間違いなさそう


ぺるけさんは対策もいくつか教示しているのだが、1段目と2段目のカップリングコンデンサの容量を減らすとターンオーバーのカーブがきれいに重ならなくなるのでこれは減らせない。1段目と2段目の電源を終段の後ろから取るのをやめてリップルフィルタのところで分けて取ってみたら発振が止まってきれいな波形になった(^^)/


下のグラフはSPを想定してターンオーバーとロールオフとを変化させた時のカーブを重ねてみたもので、ターンオーバーは下からフラット、250Hz、330Hz、400Hz、500Hz、800Hz、ロールオフは上からフラット、-5dB、-10.5dB、-12dB、-13.7dB、-16dBとなっている

SPのカーブではローリミットは設定されていないが、それぞれのカーブで20Hz以下が持ち上がらないようにローリミットの抵抗を入れている

これが最終的な回路(のはずww)

モノラルLPのカーブ

上からRIAA、NAB、Columbia、DECCAで、ロールオフはNABとColumbiaが同じなので重なっている。この4種類のカーブはいずれもターンオーバーは500Hzだがローリミットが異なるのでカーブもかなり違っている



最終的なロードラインはこんな感じ

SRPPの負荷抵抗は45kΩ、1段目と2段目は30kΩ、バイアスは-4.8vから-5.5vほどで少し深めかもしれないが、これで最終的なゲインは39dBとなってDL-102を5倍昇圧した信号を受けるにはこのくらいにしておくのがよさそう

シミュレーションでは歪み率は1Vrms出力で0.1%なので、真空管CR型フォノイコライザーとしては標準的なのではないかと思う



最後に電源の検討

12AX7に比べて12AU7はプレート電流が数倍多く流れるので、12AX7を3本の時に比べて12AU7を2本でも3倍ほどのプレート電流になる。最初の構想の時から電源は以前作ったステレオ用RIAAイコライザと共用して繋ぎかえるつもりだったので、B電源の消費電流が増えてもそのまま使えるのかどうか...検討すると、トランジスタを使ったリップルフィルタは必要な電流に合わせて回路を組んでいるのでそのままでは流用できないことが分かった^^;


電源は別躯体としていたが幸いなことにケースのスペースの関係でリップルフィルタ部を本体側に置いていたので、消費電流が増えたことに合わせたリップルフィルタを作ればOK、ということで付け焼き刃でトランジスタリップルフィルタについてちょっと調べて回路を変更、例によってLTSpicedでシミュレーションして想定した電圧、電流になることを確認


R5は現在は3.3kΩで電源ユニット側にあるのだが、電流が増えるとここの電圧降下が大きくなるので1.1kΩとして、ステレオRIAAイコライザに2.2kΩを追加して電圧を調整すればいいだろう(^^)




次は部品、特に数10個のイコライザ素子の実装の検討^^;

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